知らなきゃ危険!建築士が教える「ベクトル物理」
看板設置・看板施工のために必要な「力」の知識
- ベルトスリングは「2本だから半分」ではない!
- 吊り角度によって荷重は大きく変化する!?
- ベルトスリングの吊り角度で荷重はどう変わる?
鉄骨を2本のベルトスリングで吊る場合、「重量を2本で支えるから1本あたり半分の荷重しかかからない」と考えてしまいがちです。 しかし実際には、吊り角度が大きくなるほどベルトスリングに作用する引張荷重は増加します。 見た目では分からないこの力を理解していないと、 ベルトスリングの許容荷重を超え、破断事故につながる危険があります。 今回は、744kgの鉄骨を例に、吊り角度ごとに1本あたりへ作用する荷重を見ていきます。
吊り角度0°では荷重は半分になる
鉄骨1本(重量744kg)を2本のベルトスリングで吊り上げる場合、 1本あたりにかかる荷重は、単純に744kgの半分である372kgになるわけではありません。 荷重がちょうど半分ずつ分散されるのは、 2本のベルトスリングが垂直(吊り角度0°)の状態に限られます。
吊り角度90°では約526kgの荷重が作用する
では、吊り角度が90°の場合はどうでしょうか。 見た目には1本あたり372kg程度の荷重しかかかっていないように見えます。 しかし、実際には角度によってベルトスリングに発生する引張荷重が加わるため、 構造力学で計算すると、1本のベルトスリングには約526kg(鉄骨重量の約70%)の荷重が作用します。
この場合、1t用のベルトスリングであれば526kgは許容範囲内であるため、 安全に吊り上げることができます。
吊り角度120°では1本あたり744kgになる
さらに吊り角度が120°になると、 見た目は依然として重量を2本で支えているように感じますが、 構造力学で計算すると、1本あたりに作用する引張荷重は744kgとなり、 鉄骨1本の重量と同じ大きさになります。
クレーンは744kgの鉄骨を静止した状態で保持しているため、 重力とクレーンの吊り上げる力はつり合っています。
しかし、ベルトスリングには角度の影響によって、 左右それぞれに744kgもの引張荷重が発生しているのです。
吊り角度150°では1.43tもの荷重が発生する
さらに吊り角度が150°になると、 ベルトスリング1本あたりの引張荷重は約1,437kg(約1.43t)まで増加します。 つまり、1t用のベルトスリングでは許容荷重を大きく超えてしまい、 破断事故につながる危険性があります。
見えない力を理解することが安全につながる
吊り荷重だけを見ると安全に思えても、 吊り角度が大きくなることでベルトスリングには想像以上の引張荷重が発生します。 そのため、ベルトスリングは吊る荷物の重量だけで選定するのではなく、 吊り角度も考慮したうえで許容荷重を確認することが重要です。 見えない力を正しく理解することが、安全な玉掛け作業につながります。
見えない力まで計算する。 コスモ広告が考える、 安全な看板施工
- 吊り荷重だけで安全性を判断しない
- 吊り角度によって変化する「見えない力」まで事前に検証
見た目だけでは判断できない力だからこそ、事前に正しく計算することが重要です。
コスモ広告では、看板の設計だけでなく、実際にどのような方法で吊り上げ、
どのような手順で設置するのかまで考えた上で施工計画を立てています。
使用するクレーンやベルトスリングの選定はもちろん、
吊り荷の重量、吊り角度、それによって発生する張力など、
施工時に想定されるリスクを事前に検証。
「この重量なら吊れるだろう」ではなく、
数値に基づいて安全を確認してから現場に臨みます。
看板が完成したあとには見えなくなる部分にも、
施工会社としてどれだけ安全性を積み重ねられるか。
その一つひとつが、広告主様の大切な看板と、施工に携わるスタッフ、
そして街を行き交う地域の皆様の安全につながると私たちは考えています。
目に見える看板の品質だけでなく、
その看板が安全に街へ設置されるまでのプロセスにも責任を持つ。
それが、コスモ広告のものづくりです。

